コラム

敷金・礼金の歴史~地方編~

chiho
May 26, 2013
written by K.H

同じ日本でも地方によっては全く不動産取引の慣習が変わって来ます。
特に敷金・礼金については顕著ですので、ご紹介いたします。

■北海道で礼金の文化が浸透しなかった理由
北海道で生まれ育った人が、単身上京して賃貸を借りる際にビックリするのが「礼金」という存在だそうです。その理由は、基本的に北海道には「礼金」という習慣が浸透しないからです。

一部の高級賃貸マンションなどでは礼金を取っているケースもあるようですが、基本的に北海道では礼金を取る物件は少ないのです。

これは他でも書いているように、礼金という文化そのものが、東京などに単身上京する際に親御さんが大家さんに対して「息子のことを宜しくお願いします」という意味合いだと説明しましたが、北海道内で1人暮らしをするのであれば、そんなに距離的に離れていないので、何かあればいつでも駆けつけられるという理由で礼金の文化が浸透しなかったと言われています。


■西日本地区での敷金・礼金について
皆さんは日本全国どこにいっても、敷金や礼金を払わないと賃貸を借りることができないと思っていませんか?
実は、敷金・礼金という制度が一番強く根付いているのは、東京だと言われています。

当然日本全国どこにでも敷金・礼金という制度は存在するのですが、地域によってはシステムが全然違っていたり、敷金や礼金の金額にも大きな差があります。

特に独特の文化を育んでいる関西や九州などの西日本地区では、東京の敷金・礼金とはまったく違う習慣もありますので、簡単に説明したいと思います。京都や滋賀を除く関西地方で主流となっているのが、「敷引き」という制度です。

通常であれば、賃貸物件の広告には、「敷金3ヶ月分、礼金1ヶ月分」などと表示されることが多いのですが、敷引きを取り入れている地域では、敷金(保証金)30万円、敷引き20万円というように表示されているのです。

kushitu
そもそも敷引きとは、どのような制度なのでしょうか?

敷引きとは、賃貸契約時に敷金(保証金)の30万円を支払います。
これは通常の制度と変わりありません。

しかし、退去時に大きな違いがあります。敷引き20万円と表示されているのであれば、どんなに綺麗に使用していても退去時には必ず20万円を敷金から差し引いて返還されるというシステムなのです。

もちろん、損傷個所などがある場合には別途請求されることになります。九州地区では、礼金の文化はそんなに根付いておりませんが、関西ほど独特な制度でもありません。九州地方は、地域によって敷金・礼金が必要な物件もあれば、関西のように敷引き制度を導入している地域もあります。

つまり、九州独自の風習というよりも、その家主さんや仲介業者が都合の良い制度で、賃貸募集しているケースが多いということでしょう。

実際に私も九州地方で不動産会社に勤務していた経験がありますが、1つの不動産会社で「敷金のみ」「敷金・礼金」「敷金・礼金0円」「敷引き」など、さまざまな形態の物件がありました。