コラム

軍艦島を知っていますか?

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May 27, 2013
written by 福永夕太

先日、長崎県の端島(はしま)通称、軍艦島に行ってきました。

軍艦島とは、長崎県長崎市にある無人島で、かつては炭鉱の島として栄えていました。
近代建築の歴史においては、日本初の鉄筋コンクリート造の高層アパート「軍艦島、30号棟アパート」がある島としても有名です。

中古マンションを扱う仕事柄、集合住宅に興味があり、同潤会アパートや阿佐ヶ谷住宅といった集合住宅黎明期に建てられた建物が消えつつある中で、日本中で最も古い、大正5年に建てられた鉄筋コンクリート造のアパート(大正5年というと、築97年!)を、現存するうちに見ておきたいという思いもありました。

余談ですが、世界初の鉄筋コンクリート造の集合住宅と言われている、パリのフランクリン通りのアパートは、30号棟アパートよりも13年前の明治36年に建てられたものですが、現在も現役でがんばっています。

軍艦島は昭和49年に無人島になったため、30号棟アパートは約40年間手つかずのままです。

島の面積の0.063㎢ に対し、人口は約5,300人 人口密度を計算すると、1平方キロメートル当たり約84,000人(東京の約9倍!)で、当時世界1位だったそうです。

gungun01 出炭量が増加するにつれて人口も増加し、幼稚園や小中学校、病院や床屋、映画館、パチンコ店等が作られたようです。
写真の奥の建物は小中学校です。長崎県立でも市立でもなく 、「三菱の社立」ですから驚きです。

軍艦島には、40棟以上の建物が残っていますが、30号棟アパートは7階建で、中には10階建というものもあります。
人口密度を考えると、これは上へと建てるほかなかったようですね。。。
エレベーターは、計画はあったようですが、実際には取り付けられなかったそうです。

DSC_0224 軍艦島には、ツアー会社を利用しないと上陸はできません。また天候によっても上陸できないこともあります。

ツアー会社は4、5社ほどあり、僕が利用したのは「軍艦島クルーズ」という会社でした。
料金は、クルーズ料+上陸手数料併せて、3,300円~3,800円の幅です。
上陸手数料は300円で、上陸できなかった場合は、返金されます。

安全確保の観点から、上陸しても見られる箇所は限定されています。首都圏や海外からの見物客が多いようで、長崎県の人は少ないそうです。

本当は、地元での知名度を上げたいようですが、なかなか上手く伝えられないと、ガイドさんは、悲しげに話していました。

1回の参加者は15人~20人程度。
観光客の動機も様々で、アメリカ人は映画(007スカイフォール)で軍艦島を知ったらしく、日本人は廃墟好きや無人島好き、歴史好きが多かったです。
僕の様な近代建築好きは、今回はいませんでした。

以前、幼い頃に島で生活されていた方が、ツアーに参加したようですが、意外な事に、「帰ってきた」という感覚はなく、「見にきた」とおっしゃっていたそうです。

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長崎港を出発して約40分。
島に近づくにつれ、気持は弾みながらも体が重くなるような、徐々に不思議な感覚になっていきました。

私が一番印象的だったのは30号棟アパートではなく、実は昇降階段部分でした。
そこは地下現場に行くために設けられた、地上と地下の出入口。
階段の表面が、真黒くなっているのは、靴の裏に付着した炭の跡です。

長崎県に旅行の際は、グラバー邸やハウステンボス、出島だけではなく、軍艦島の存在を思い出して足を運んでみてください。



軍艦島クルーズ:http://www.gunkanjima-cruise.jp/
トップ写真:軍艦島、30号棟アパート(福永撮影)