コラム

不動産会社の歴史

rekishifudosan
May 18, 2013
written by K.H

■借家・借地は江戸時代にもあった
今現在も実在している日本最古の不動産会社をご存知でしょうか?
現存している不動産会社では、明治29年10月に東京の日本橋に創設された「東京建物(現在名も同じ)」だといわれています。明治29年なのですから、平成25年現在では創立117年目を迎えていることになります。
しかし、不動産業という括りで見てみると、その歴史は江戸時代にまで遡ると言われています。
江戸時代には、「不動産」という言葉そのものは存在しておりませんでしたが、現に借家や借地という貸し借りが行われていました。
時代劇などでも「借家(しゃくや・しゃっか)」という言葉が度々でてきますし、農地を借りて耕作をする人もいたそうです。しかし、あくまでも個人間での貸し借りというケースが多く、現在の不動産会社のように借家や借地を仲介するという文化はありませんでしたが、借家や借地を管理する人物はいたようで、このような人たちを「差配人(さはいにん)」と呼んでいたそうです。ただ差配人のほとんどが、その街の世話役みたいな人達であり、事業というよりも、借家や借地を多く所有している富豪や大地主のように、その街の実力者の命令により、管理していたというのが実情のようです。

■現在の不動産事業が誕生した明治初期~中期
「不動産」という言葉そのものが登場したのは、明治初期だと言われております。
明治になると、憲法にも「不動産」という言葉が使われるようになり、多くの不動産業者が誕生したそうです。さらに明治中期になる頃には、現在のスタイル同様に物件を仲介する業者も誕生し、不動産業としての幅も広がったそうです。ちなみに皆さんも良くご存知の「三井不動産」の創業が昭和16年、「住友不動産」が昭和24年ですので、明治中期から経営している「東京建物」が、いかに老舗の不動産業者であるかが理解できるのではないでしょうか。

■戦後の復興施策としてマンション事業が躍進
あまり知られていませんが、戦後の復興として一役買ったのがマンション事業でした。戦争で焼け野原になった東京には、住む家さえも無いという人々が溢れかえっていました。
そこで、復興の第一弾として掲げられたのが、住宅の確保だったのです。政府は銀行などの民間企業だけに頼るのではなく、自ら住宅融資を行う公的機関を設立することを決定しました。この公的機関こそ、住宅金融公庫や住宅公団だったのです。これらの公的機関設立がきっかけとなり、莫大な費用がかかるマンションの設立が急激に加速することになったのです。