コラム

パリのアパルトマン体験記

pariapa
May 26, 2013
written by 青山物産

去年パリに一人旅をした時に利用したのがアパルトマン。
アパルトマンを借りるというと、最低でも3カ月くらいからでないと利用できないと思いがちですが、調べると3日~利用可能。ホテル感覚で利用できてしまうのです。

アパルトマンはあくまで賃貸アパート(マンション)ですから、ホテルのようにコンシェルジュがいるわけでもなく、食事が付いているわけでもありません。

僕がお世話になったサイトは「PARIS chez MOI(パリシェモア)」というサイト。
とても見やすくて、パリの地理が分からなくても周辺環境の様子が書いてあり、想像しやすかったです。ちなみに利用した部屋はすぐ裏が教会で、目の前には週2回マルシェが立ち並びます。スーパーも近くてとても便利でした。建物もフランス革命くらいの建築時期で、築200年強。。日本とはレベルが違いますね。

さて当日、14:30にエージェントとエントランス前で待ち合わせます。
エージェントはフランス語が堪能な日本人女性でした。とても感じが良かったです。
オートロックを解錠し、中に入り一通り設備の説明を受けサインをします。
裏の教会がこのアパルトマンを管理しているらしく、時を告げる鐘の音が響きます。

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最初はホテル生活と変わらないなと思っていたのですが、最終日にこんな体験をしました。

その日はカルチェラタン地区で食事をして、シャンパンを3、4杯飲んでいました。
気付くと23:00。エッフェル塔がピカピカ光ります。そろそろ帰ろう!とメトロに乗り、
乗換えもスムーズに一つ手前の駅で下車しました。
「夜のセーヌ川沿いを歩きながら帰ってみよう」と、ほろ酔いの僕は何気なく思ったのでしょう。
トボトボと物思いに耽りながら歩き、夜風や風の音がとても心地よかったのを覚えています。

そして間もなくアパルトマンに到着。
オートロックを少しだけ慣れた手つきで解錠して、薄暗い螺旋階段を4階まで上ります。
長いパリの歴史を知る木の階段が「ギィー、ギシー」と軋みます。
部屋に入ると暗くて誰もいない部屋。迎えてくれるフロント・コンシェルジュはいません。

近くのスーパーで前日に買った珈琲を淹れ、ソファーに座り外開きの窓を開けてみると、
パーティーも終焉ムードなのか、隣の家の部屋から英語ではない声がこちらまで聞こえてきます。窓越しに向かいの住人と目が合って会釈したりして。

これがホテルだったら違ったでしょう。
ホテルを寝る部屋、旅の基点としてのみ捉え、そこから想像力を働かせなかったと思います。
僕にとって思い出深いのはこのような些細なことであり、匂いや音の空気感でした。
教会の鐘の音、夜風の音や匂い、セーヌ川のざわざわした音、階段が軋む音、隣の住人の音。

世界遺産も高級ホテルも素晴らしいけど、それはそれで。

TOP写真出典:http://www.flickr.com/photos/84148263@N00/3803569715
パリシェモア:http://www.ccfj.com/stay/